idea factory from newspaper 2003 9 6

成功と失敗(success or otherwise)
 平家物語を、読んだことがあるでしょうか。
私が、子供の頃、読んだ本で、最も記憶に残っている本です。
 「大成功の時が、最も危険である」と考えています。
なぜなら、大成功というものは、たいてい幸運に助けられています。
しかし、幸運というものは、そんなにありません。
さらに、大成功した人間は、いつまでも過去の栄光にこだわります。
 大成功は、時として、人間を堕落させることになります。
だからこそ、人生において、大成功の時は、
警戒すべき時であり、反省の時でもあります。
 失意の時に、反省しろと言われても、つらいでしょう。
しかし、成功の時は、いくらでも反省はできます。
 バグダッドの突然の落城。
これは、幸運だったのではないでしょうか。

鎖国(national isolation)
 日本も、かつて、鎖国をしていたことがあります。
今は、アメリカが鎖国をしています。
頭脳流入を妨げる規制の強化です。
しかし、アメリカは、世界中から、優秀な頭脳を集めることで繁栄してきたはずです。
もう、その歴史的役割は、終わったというのでしょうか。
そうであるならば、今度は、
日本が、世界中から、優秀な頭脳を集めるべきです。
早急に、科学技術の移民を認めるべきです。

 テロの恐怖で、アメリカは、寛容を失ったと言われます。
しかし、なぜ、テロに遭うのかを考えなければなりません。
アメリカで考えると、スケールが大きすぎて、わからなくなるので、
別のもので、考えましょう。
 マイクロソフトは、アメリカそのものです。
アメリカを象徴していると言っていいでしょう。
しかし、マイクロソフトは、システム上のテロ攻撃をよく受けるでしょう。
なぜ、マイクロソフトは、テロ攻撃を受けるのか。
これをよく考えるべきです。
 マイクロソフトの「繁栄の歴史」は、
他の会社の「没落の歴史」でもあります。
マイクロソフトの繁栄の歴史は、多くの犠牲の上に成り立っています。
 たとえば、かつて、ネットスケープという優れた会社がありました。
しかし、この会社は、事実上、マイクロソフトによって、つぶされたようなものです。
このような会社は、他に、いくらでもあります。
 競争は大事ですが、共存共栄が全く無視されると、
そこに反作用が始まります。
 繁栄の歴史が、多くの犠牲の上に成り立っているとすれば、
それは、砂の上に築いた「繁栄の歴史」に過ぎない。
このような場合は、必ず、反作用を受けます。
 このようなことを、かつて、ヨーロッパはやりました。
ヨーロッパでの戦乱が収まって、ひとときの平和が訪れた時、ヨーロッパはどうしたのか。
帝国主義と植民地主義で、アフリカ、中東、アジアに進出したでしょう。
そして、今、ヨーロッパは、どうなっているのか。
帝国主義と植民地主義の時代は、ヨーロッパは、世界の中心でした。
しかし、今は、世界の中心なのか。
 同じ過ちを、アメリカが繰返している。

聖書に、このような文章があります。
Happy are those who are humble;
they will receive what God has promised!